現在はベルリンに活動拠点を置くプロデューサー/マルチ奏者によるプロジェクト。本作は4枚目のアルバムで、ブルックリンの〈セイクリッド・ボーンズ〉からのデビュー作になる。同レーベルといえば、コペンハーゲンのアイスエイジ周辺とも人脈をシェアする、現在のアンダーグラウンドなロック・シーンにおける重要拠点の一角。今回の移籍はまさに良縁が生んだ賜物、といえるだろう。
そのダークなポスト・パンク〜インダストリアル・サウンドは、ここに至ってさらなる強度を増している。ミニマルな色合いを深めたビートやエレクトロニクスは現地のテクノ・シーンとの交流も想像させるが、自身のトラウマや罪悪感がテーマだというコンセプトは、NINの初期作『プリティ・ヘイト・マシーン』辺りを連想させるかもしれない。リード曲の“Burn”や“It Kills”にその傾向は顕著に窺える一方、空間的に配されたシンセのプロダクションは、レーベル・メイトの巨匠ジョン・カーペンターの諸作に通じるところもある。プロデュースは前作『ディーパー』に続きマウリツィオ・バッジョ(クロコダイルズ、マーチャンダイズetc.)が担当。(天井潤之介)
先鋭と内省の狭間
ザ・ソフト・ムーン『クリミナル』
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