「多様化」が推し進められる昨今、カテゴライズするのは簡単だが、割り切れないものを割り切れないまま受け入れることは意外と難しく、割り切れないものごとが細分化されたそれらを覆い尽くすほどの勢いで増え続けているのも事実で、その結果、割り切れないものとして新たにカテゴライズされることで世の中は均衡を保っている。
《ある日はラウドな枠で ある日はポップな枠で 意外とやりようあるもんだね》（“フワフワプカプカ”）
音楽シーンにおいて、こんなことを正々堂々、真正面から歌えるバンドが結成20周年を迎えた。
打首獄門同好会が打ち鳴らす「生活密着型ラウドロック」は、人の営みが終わらない限り生まれ続ける。
真正面から歌っているはずなのに、なぜだか「生活」を歌えば歌うほど、彼らは音楽シーンのど真ん中から逸れていく。
しかしそれでいいのだ。それがいいのだ。
最新鋭の高級車でカセットテープに録り溜めたプレイリストを擦り切れるまで聴くような、本来結ばれてはならない二人がギリギリの均衡を保ってともに歩き続けているような妙味が彼らの音楽にはある。
しかもそれが20年も続くとなれば、もはや切っても切り離せない運命とさえ思えてしまう。
打首獄門同好会が成し遂げたことは、つまりそういうことだ。
結成20周年を迎えて放たれる最新アルバム『ぼちぼちベテラン』。
聴いていると、なぜだか無性にお腹が空いてくる。それって、すごいことだと思う。
3人に、20周年を迎えた心境やアルバム制作の裏側を語ってもらいました。
誌面で彼らの今を確かめてください。（橋本創）
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